2017年10月23日

映画レビュー『セトウツミ』喋るだけの青春

セトウツミ -
セトウツミ -

2016年公開
出演:池松壮亮、菅田将暉、中条あやみ
監督:大森立嗣
配給:ブロードメディア・スタジオ

‘13年より『別冊少年チャンピオン』で連載されている
同名マンガの映画化作品です。

原作は読んだことがないのですが、池松壮亮、菅田将暉という、
今をときめく実力派若手俳優のダブル主演というキャスティング、
さらに「喋るだけの青春」というキャッチコピーに惹かれ、
公開当時から注目していました。

二人の主人公はともに高校2年生で、瀬戸は明るい性格、
もう一人の主人公・内海はちょっと暗めでインテリっぽい、真面目な生徒です。

内海は放課後、塾へ行くまでの時間を川辺で一人、
ボッーと過ごす毎日を送っていたのですが、
ある時、瀬戸がサッカー部を辞めて、内海がいる川辺にやってきます。

二人は最初、友達というほど仲良くはないのですが、
毎日、一緒に放課後を過ごす中で、どうでもいいことをダラダラ喋り続け、
いつの間にか、友人になっていくのでした。

基本的にこの映画はほとんどがこの川辺が舞台になっていて、
人生を揺るがすような大きなドラマは起こりません。
二人がどうでもいいことをダラダラと喋り、
そこへたまに他人が介入してくる時があったり、
ちょっとした出来事があるだけです。


でも、二人のリズミカルな関西弁口調も相まって、
そのどうでもいい話が笑えて、楽しいんですよね。
私も学生時代は部活もやっていなかったし、
かつての自分の姿と重なる部分がありました。

私も放課後にどうでもいいことを友達とダラダラと喋っていましたが、
今となっては、あのダラダラと過ごす時間が
かけがいのない贅沢な時間だったと思います。
本作の二人を観ていると、そんな学生時代に戻ったような感覚があるんですよね。


観終わってから、知ったのですが、本作を手掛けたのは
私が好きな『まほろ駅前多田便利軒』などを撮った大森立嗣監督でした。
本作を観て改めて思いましたが、
この監督はこういう素朴な作品を上手く仕上げる監督ですね。
何気ない風景が大森監督の手に掛かれば、上質な映像作品に生まれ変わります。
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2017年10月22日

10/23(月)~10/29(日)の予告

当ブログは不定期更新なので、これからは毎週日曜日に予告を入れることにします。
気になる記事があった方は、その日の0時頃に本サイトを覗いてみてください。

~今週の更新予定~
10/23(月)映画レビュー『セトウツミ』
10/24(火)音楽レビュー『OPUS ALL TIME BEST 1975-2012』山下達郎
10/25(水)書籍レビュー『延長戦に入りました』奥田英朗
10/26(木)小説レビュー『風の中のマリア』百田尚樹
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2017年10月21日

ウンナンの話をしよう(34)ウンナンとよゐこ(3)ウンナンが引き出したよゐこの魅力

~これまでのあらすじ~
ウンナンとよゐこのエピソードについて振り返った。

  *  *  *

前回、前々回と、よゐこの経歴、
ウンナンとよゐこのエピソードについて振り返りました。
ここからは「お笑い」という観点で
ウンナンとよゐこの相性について考察してみます。


・日常に寄り添うウンナンのコント、非日常に引き込むよゐこのコント

ウンナンとよゐこを比較した場合に「コント」と「若くして売れた」
という二つの共通点が挙げられると思います。
ウンナンもよゐこも自身のコントがきっかけで世に知られました。

そして、「若くして売れた」という点では、
どちらのコンビのネタも新しい手法を使ったコントだった
ということが言えるでしょう。

若手時代のウンナンのコントが新しかった点は、
東京に暮らす若者の日常の世界観を上手く取り入れたところです。
さらにそれを「ショートコント」というそれまでにはなかった
短くまとめるスタイルで表現しました。


一方のよゐこの若手時代のコントは日常と一線を画す独特な世界観で
新しい笑いの世界を表現していました。

(フナとおたまじゃくしのコントとか)
どちらもそれまでになかった笑いの表現だったからこそ、
デビューして間もなく注目を集め、売れる要因になったのではないでしょうか。

よゐこLIVE 蔵出し(1) [DVD] -
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▲このライブでは初期のネタもやったようです。

デビュー時の売れ方の爆発力としては共通点のある二組ですが、
純粋にコントとして比べた場合には対照的なネタだとも言えます。
その対照的なところが意外と相性の良さにも
繋がっているのではないかと思われます。

なぜならば、ウンナンが一躍スターダムを駆け上がるきっかけになった
『夢で逢えたら』で共演していたダウンタウンは、
ウンナンとの相性が抜群のコンビ同士でしたが、
ダウンタウンのコントというのも、非日常を描いた独自の世界観を持った、
ウンナンとは対照的なタイプだったからです。

ちなみに、ウンナンが『夢で逢えたら』(‘88)で、現在の活躍の布石を築いたのが
デビューから4年目で24歳の頃、
よゐこが『とぶくすり』(‘93)に抜擢されたのが
デビューから3年目で21歳の頃でした。

よゐこのように若くして売れる人たちが抱える苦悩も
ウンナン自身が同じような道を辿っているのもあって、
理解できるところがあったのではないでしょうか。
(特に素の状態だとあまり活躍できないという駆け出しの頃の苦悩も似ている)


・肉体派のウンナン、発想力のよゐこ

ウンナンと言えば、身体能力が優れていることもあって、
体を張った笑いに積極的だった点も特徴的です。
これはコントに限ったことではなく、若い頃から特に日本テレビ系の
『ウッチャン・ナンチャン』(‘89)、『ウンナン世界征服宣言』(’92)などで、
身体を張った過酷なロケにも挑戦していました。

(同世代のとんねるずやダウンタウンと比べて、特徴的なポイント)

一方の若手時代のよゐこは同世代のナインティナインやキャイ~ンと比べて、
体を張って何かに挑戦する企画が極端に少ないコンビでした。

‘95年に出演した『進め!電波少年』の企画でもリタイアしていますし、
『ウリナリ‼』でも、コント以外の何かに挑戦する企画は
圧倒的にキャイ~ンが目立っていた印象があります。

よゐこと言えば、大喜利をやらせたらピカ一という印象が強いです。(特に有野)
少なくとも、ナイナイやキャイ~ンと比べても、その力は圧倒的で、
(むしろナイナイやキャイ~ンは大喜利が苦手)
『内村プロデュース』によゐこが出演した際にもウッチャンが
「やっぱりよゐこはこういうのをやらせたら上手いなぁ」と絶賛していました。
(アニメにアテレコをするという大喜利でした)

また、テレビ朝日で放送されていた『虎の門』という深夜番組で
『しりとり竜王戦』(‘04~’06)という、「しりとり」の要領で言葉のセンスを競う
一種の大喜利的なコーナーがあったのですが、
このコーナーで有野は若手時代にダウンタウンの松ちゃんとも勝負していた
130Rの板尾創路と互角の勝負を繰り広げたことがありました。

また、初期の『IPPONグランプリ』にも出演していましたね。

IPPONグランプリ02(初回限定盤) [DVD] -
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しかし、ウンナンはよゐこのそんな長所を生かすだけでなく、
敢えて苦手とする体を張った笑いにも挑戦させていたんですよね。
例えば、大ヒット企画の『芸能人社交ダンス部』では活躍のなかったよゐこですが、
『ドーバー海峡横断部』では、濱口がチームの一員として、
文字通りドーバー海峡の横断に成功しています。


ウッチャンナンチャンのウリナリ!! ドーバー海峡完全横断!! 後編 [VHS] -
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ここで培った水泳の力が後に『黄金伝説』での
大ヒット企画の『無人島0円生活』(‘04~)の企画に繋がっていきます。
しかも、『ドーバー海峡横断部』が始まった時、
濱口は泳げても息継ぎができないレベルだったんですよね。
(ちなみに『ドーバー海峡横断部』は最初、有野が参加していた企画だったんですが、
途中でリタイアし、濱口にバトンタッチしたものでした)

とったどー! よゐこの無人島生活 -
とったどー! よゐこの無人島生活 -

レギュラーではなかったですが、ナンチャンの『リングの魂』での
よゐこの活躍も目覚ましいものがありました。
ストロングマシンに扮した有野とアニマル浜口に扮した濱口の
ヒールっぷりが新しいよゐこの魅力を引き出していました。

『めちゃイケ』などでも濱口は体を張った企画を担当していましたが、
その後の『黄金伝説』や『ゲームセンターCX』で観られるよゐこの活躍には
『ウリナリ‼』で培ったものが生きているのではないかと感じます。



ザっと振り返ってみましたが、やはり、ウンナンが引き出した
よゐこの魅力というのも現在のよゐこにとってかなり大きいような気がします。
長所を引き出し、短所を補う、そんな働きかけ上手く働いた共演だったんですよね。

『ウリナリ‼』の頃こそ、よゐこと言えば、
どちらかと言えば、スベリ役で目立たない存在でしたが、
今ではウンナンの番組によゐこがキャスティングされているだけで、
安心して観られる安定感があります。

この20年くらいでそんな安定感が築けたのは、
ウンナンのリード力だけではなく、
最終的には本人たちの影の努力があっての賜物ですね。
posted by いっき82 at 09:34| Comment(0) | テレビコラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする